指先の痛みが一時的なものではなく、数週間から数ヶ月にわたって良くなったり悪くなったりを繰り返す場合、それは急性ではなく「慢性爪周囲炎」の状態にあるかもしれません。急性の爪周囲炎が細菌による急激な炎症であるのに対し、慢性爪周囲炎は水仕事による手湿疹の延長線上にあったり、カンジダ属などの真菌(カビ)が関与していたりすることが多く、その治療アプローチは大きく異なります。このような症状に悩む方が、爪周囲炎は何科で診てもらうべきかという問いに対して、最適な答えは間違いなく皮膚科です。なぜなら、慢性的な症状の原因が細菌なのか、真菌なのか、あるいはアレルギー性や接触性の皮膚炎なのかを判別するためには、顕微鏡検査や培養検査といった皮膚科特有の診断プロセスが必要になるからです。慢性爪周囲炎の場合、爪の周りの皮膚が赤く腫れるだけでなく、爪の表面が波打つように変形したり、爪と皮膚の間の「甘皮」が消失してしまったりするのが特徴です。甘皮がなくなることで、本来は入ってはいけない水分や汚れが爪の根元に侵入しやすくなり、さらに炎症を悪化させるという負のスパイラルに陥ります。皮膚科では、抗真菌薬の塗り薬や、必要に応じてステロイド剤、保湿剤を組み合わせた多角的な治療が行われます。また、日常生活でのケア、例えば洗い物をする際には綿手袋をした上にゴム手袋を着用するといった具体的な指導も、皮膚科医が得意とする分野です。一方で、慢性の炎症によって爪が肉に食い込む「陥入爪」や「巻き爪」を併発している場合には、形成外科や整形外科との連携が必要になることもあります。外科系の科では、食い込んでいる爪の一部を切除したり、ワイヤーを使って爪の形を矯正したりする物理的な処置が可能だからです。しかし、まず最初に行くべきは皮膚科であり、そこで皮膚の状態を整えることが先決となります。爪周囲炎は何科という選択肢の中で、慢性症状であれば皮膚科を、急激な激痛と膿があれば外科系を検討するというのが、現代医療を賢く利用するための知恵です。指先は常に目に触れる場所であり、爪の変形は見た目にもストレスを与えます。慢性化しているからと諦めず、専門医の診断を受けることで、適切な薬の選択と習慣の改善が行われれば、健やかな爪を取り戻すことは十分に可能です。自分の指先が発している沈黙のサインを見逃さず、皮膚と爪の専門家である医師に相談することが、長期にわたる不快感から解放されるための最短ルートとなるでしょう。