医療技術の進歩に伴い、虫垂炎という古くから知られる疾患の診断と治療も大きな変革期を迎えています。かつては「痛くなったらすぐ切る」という方針が主流でしたが、現在は患者さんの身体への負担を最小限に抑えるための高度な連携が各診療科間で行われています。では、現代において虫垂炎は何科が中心となって動いているのでしょうか。その答えは、放射線科、消化器内科、そして消化器外科による三位一体のチーム医療にあります。患者さんが激しい腹痛で来院した際、まず窓口となるのは多くの場合、消化器内科や救急科です。ここで重要な役割を果たすのが、放射線科の専門医による画像読影です。最新のマルチスライスCTを用いれば、虫垂の太さや壁の厚み、周囲の脂肪組織の炎症具合をミリ単位で解析することが可能です。この精密なデータを基に、内科医と外科医が治療方針を協議します。膿が溜まって破裂する危険性がある場合は、即座に消化器外科での腹腔鏡手術が選択されますが、炎症が一定の範囲に留まっている場合は、内科での強力な抗菌薬治療によって「切らずに治す」ことも現実的な選択肢となります。このように、虫垂炎は何科かという議論を超えて、どの科が連携して最適なプランを提示してくれるかが重要になっています。また、最近では「待機的手術」という手法も注目されています。これは、一度内科的な治療で炎症を鎮めた後に、体調を整えてから改めて外科的に虫垂を切除する方法です。これにより、炎症が激しい状態での無理な手術による合併症リスクを減らすことができます。このような高度な判断は、専門科が揃っている大規模な病院ならではの強みです。患者側としては、単に近くの病院を選ぶだけでなく、こうした診療科間の連携がスムーズに行われているか、最新の診断機器が導入されているかを確認することも、受診先を選ぶ一つの指標になります。科学的な根拠に基づいた診断が行われることで、不必要な手術を避け、かつ必要な時には一刻の猶予もなくメスを入れる。こうした精度の高い医療を提供するために、各診療科は日々情報を共有し、技術を磨いています。虫垂炎という身近な病気だからこそ、その背後にある最新医療の恩恵を十分に享受できるよう、私たちは適切な診療科のネットワークへとアクセスする必要があるのです。