「最近、子供が運動の後に、かかとを痛がることが多い」「特に思い当たる怪我もないのに、かかとが痛くて歩き方がおかしい」。もし、あなたの子供が小学校高学年から中学生くらいの、活発な成長期の男の子であれば、そのかかとの痛みの原因は「シーバー病(踵骨骨端症:しょうこつこったんしょう)」かもしれません。シーバー病は、大人の足底腱膜炎とは全く異なる、成長期の子供に特有の病気です。成長期の子供のかかとの骨には、まだ成長軟骨と呼ばれる、骨が成長していくための柔らかい部分が存在します。この成長軟骨は、構造的に弱く、繰り返しのストレスに弱いという特徴があります。サッカーやバスケットボール、陸上競技など、走ったりジャンプしたりする動作を繰り返すスポーツでは、ふくらはぎの筋肉が、アキレス腱を介してかかとの骨を強く引っ張ります。この引っ張る力が、弱い成長軟骨の部分に繰り返し加わることで、炎症や微細な損傷が生じ、痛みが発生するのです。いわば、成長とスポーツ活動のバランスが崩れた時に起こる、一種の「成長痛」とも言えます。痛みの特徴は、運動中や運動後に強く現れ、安静にしていると和らぐことです。かかとの後ろ側、アキレス腱の付け根あたりを押すと、強い痛みを感じます。つま先立ちになったり、かかとを地面につけたりする動作で痛みが誘発されるため、子供はかかとを浮かせるような歩き方をすることがあります。診断は、整形外科で症状や年齢、スポーツ歴などを聞き、レントゲン検査で他の骨の異常がないかを確認することで行われます。治療の基本は、痛みを引き起こしている原因、つまりスポーツ活動を一時的に休止または制限し、かかとへの負担を減らすことです。痛みが強い場合は、湿布や塗り薬を使用したり、かかとの衝撃を和らげるためのヒールカップなどのインソールを用いたりします。また、硬くなったふくらはぎの筋肉をほぐすためのストレッチも非常に重要です。シーバー病は、骨の成長が終われば自然に治る病気ですが、痛みを我慢して運動を続けると、症状を長引かせることになります。子供が痛みを訴えたら、無理をさせず、一度整形外科に相談することが大切です。
子供のかかとが痛い!成長期特有のシーバー病