あれは忘れもしない、五歳になる息子が溶連菌と診断されてからちょうど一週間が経った日のことでした。処方された抗生物質を真面目に飲み続け、高かった熱もすっかり下がり、喉の痛みも消えて、ようやく日常が戻ってきたと安堵していた矢先の出来事でした。お風呂上がりの息子の体を見て、私は思わず「えっ」と声を上げました。お腹や背中、そして腕や足にまで、赤くて少し盛り上がったような、今まで見たことのない発疹がびっしりと広がっていたのです。溶連菌の発疹は、熱と一緒に出るものだと聞いていたのに、なぜ今頃?治ったはずなのに、ぶり返してしまったのだろうか。それとも、何か別の怖い病気なのだろうか。私の頭の中は、不安でいっぱいになりました。翌朝、いてもたってもいられず、かかりつけの小児科へ駆け込みました。先生は、息子の全身の発疹をじっくりと見た後、私にこう尋ねました。「お薬、ちゃんと飲んでますか?」。私が「はい、言われた通り、昨日も飲みました」と答えると、先生は優しく微笑んで言いました。「これは、病気が悪化したんじゃなくて、お薬のアレルギー、薬疹ですね。溶連菌の治療で使う抗生物質で、時々こういう反応が出る子がいるんですよ」。薬疹。その言葉を聞いた瞬間、私は張り詰めていた緊張の糸が切れ、ほっとしました。病気が悪化したわけではなかったのです。先生は、原因となっていた抗生物質を中止し、かゆみを抑えるための抗アレルギー薬を処方してくれました。そして、「発疹はしばらくかかるかもしれないけど、必ず綺麗に消えるから心配しないでくださいね」と付け加えてくれました。その言葉通り、薬を変えてから数日経つと、あれだけひどかった発疹は少しずつ薄くなり、一週間ほどですっかり元の綺麗な肌に戻りました。この経験を通じて、私は子供の体の変化を自己判断することの怖さと、専門家である医師に相談することの大切さを、改めて痛感しました。治った後の予期せぬ症状に、同じように不安を感じる親御さんの、少しでも参考になればと思います。
息子の溶連菌一週間後に謎の発疹が出た話