-
そのかかとの痛み、あなたの靴が原因かもしれません
長引くかかとの痛みの原因を探る時、私たちはつい、体の内部の問題ばかりに目を向けがちです。しかし、実は毎日あなたの足を支えている「靴」そのものが、痛みを引き起こし、悪化させている最大の原因であるケースは少なくありません。足と靴の相性は、かかとの健康に直接的な影響を及ぼします。まず、最も問題となりやすいのが、「クッション性のない、底の薄い靴」です。ペタンコのパンプスやバレエシューズ、あるいはすり減ったスニーカーなどを履いていると、歩くたびに地面から受ける衝撃が、ダイレクトにかかとに伝わります。この繰り返される衝撃が、足底腱膜や、かかとの下にある脂肪体に微細なダメージを蓄積させ、炎症を引き起こすのです。また、「アーチサポートのない靴」も問題です。私たちの足の裏には、衝撃を吸収するための土踏まず(アーチ)がありますが、これを適切に支えてくれない靴を履いていると、アーチが崩れやすくなります。アーチが低下すると、それを支えている足底腱膜が過剰に引き伸ばされ、足底腱膜炎を発症するリスクが高まります。サイズが合っていない靴も、もちろんNGです。大きすぎる靴は、靴の中で足が不安定になり、無駄な力が入ってしまいます。逆に、小さすぎる靴は、足全体を圧迫し、血行を悪化させる原因となります。では、かかとに優しい靴とは、どのようなものでしょうか。ポイントは三つあります。一つ目は、「かかと部分に十分なクッション性があること」。衝撃をしっかりと吸収してくれる素材が使われているかを確認しましょう。二つ目は、「しっかりとしたアーチサポートがあること」。土踏まずの部分が適度に盛り上がり、足のアーチを支えてくれる構造になっていることが重要です。三つ目は、「かかとがしっかりと固定されること」。靴の中でかかとが動かない、安定した作りのものを選びましょう。もし、あなたが慢性的なかかとの痛みに悩んでいるなら、一度、自分の靴箱の中を見直してみてください。原因は、あなたの足元にあるのかもしれません。
-
蕁麻疹が出た風邪、学校や仕事は休むべき?
風邪の症状に加えて、全身に蕁麻疹が出てしまった。熱もあって体はだるいけれど、仕事や学校を休むべきか、それとも無理して行くべきか。特に、蕁麻疹が「他人にうつるのではないか」という心配から、判断に迷う方もいるでしょう。まず、最も重要な点として、蕁麻疹そのものは、他人に感染する病気ではありません。蕁麻疹は、アレルギー反応や物理的な刺激によって、自分自身の体内でヒスタミンが放出されて起こる皮膚の症状です。そのため、蕁麻疹が出ている人と接触しても、その蕁麻疹がうつることは絶対にありません。したがって、「蕁麻疹があるから」という理由だけで、学校や仕事を休む必要はありません。学校保健安全法においても、蕁麻疹は出席停止の対象となる疾患には定められていません。しかし、問題となるのは、その蕁麻疹の「原因」です。もし、蕁麻疹が風邪、つまりウイルスや細菌による感染症に伴って出ているのであれば、話は別です。インフルエンザやアデノウイルスなど、感染力の強い病気が原因である場合、当然ながら、他の人にうつしてしまうのを防ぐために、医師の指示に従って、定められた期間、学校や仕事を休まなければなりません。また、感染力の弱い一般的な風邪であっても、高熱やひどい咳、強い倦怠感といった全身症状がある場合は、本人の体を休ませ、回復に専念させるためにも、無理せず休養を取るべきです。体調が悪い中で無理をすれば、免疫力がさらに低下し、風邪も蕁麻疹も悪化してしまう可能性があります。結論として、休むべきかどうかの判断基準は、「蕁麻疹の有無」ではなく、「全身状態と、原因となっている感染症の種類」によります。まず、医療機関を受診して、風邪の原因と、どの程度の休養が必要かを診断してもらうことが大切です。その上で、もし全身状態が良好で、医師からも許可が出ているのであれば、蕁麻疹が残っていても、登校や出勤は可能、ということになります。ただし、見た目が気になる場合や、強い痒みで集中できない場合は、無理せず休むという選択も、もちろん尊重されるべきです。
-
ハイヒール女子の宿命?痛い魚の目ができるまで
憧れのハイヒールを履いて、颯爽と街を歩く。多くの女性にとって、それは自信を与えてくれる魔法のアイテムかもしれません。しかし、その美しいシルエットの裏側で、あなたの足は悲鳴を上げている可能性があります。特に、つま先部分にできる痛い「魚の目」は、ハイヒールを愛用する女性に非常に多く見られる、まさに宿命とも言えるトラブルです。なぜ、ハイヒールは魚の目を作りやすいのでしょうか。そのメカニズムは、足にかかる圧力の不自然な集中にあります。通常、私たちが裸足で立っている時、体重はかかとと足の指の付け根あたりにバランス良く分散されています。しかし、高いヒールを履くと、体重の大部分がつま先、特に第二指と第三指の付け根部分に、まるで杭を打ち込むかのように集中的にかかってしまいます。この狭いエリアに、歩くたびに全体重の何倍もの圧力がかかり続けるのです。さらに、多くのハイヒールは、つま先部分が細く尖ったデザインをしています。この形状は、足の指を両側から強く圧迫し、指同士が重なり合ったり、靴の内部でこすれ合ったりする原因となります。この「集中的な圧力」と「継続的な摩擦」という二つの過酷な条件が、皮膚の防御反応を暴走させます。皮膚は、この異常な刺激から内部の組織を守ろうとして、角質をどんどん厚くしていきます。そして、その角質が皮膚の外側ではなく、内側へ向かって楔状に深く食い込んでいくことで、神経を刺激する痛みの芯、すなわち「魚の目」が形成されてしまうのです。特に、まだ皮膚が柔らかい二十代、三十代の女性が、仕事で毎日ハイヒールを履き続けることで、頑固な魚の目ができてしまうケースは後を絶ちません。魚の目は、単なる美容上の問題ではありません。それは、あなたの足が不自然な負荷に耐えきれなくなっているという、体からの明確な警告サインです。痛みを感じたら、それはあなたの足と靴との関係を見直すべき時が来た、という合図なのです。
-
私が胸の痛みで救急外来に駆け込んだ夜
それは、平日の深夜のことでした。ソファでテレビを見てくつろいでいた時、突然、胸の真ん中に、これまで経験したことのないような強い圧迫感が現れたのです。まるで、象に胸を踏みつけられているような、息が詰まるような感覚。痛みは、じわじわと左の肩から腕の内側へと広がっていきました。同時に、額からは冷や汗が噴き出し、吐き気も催してきました。「これは、ただ事ではない」。テレビで見た心筋梗塞の症状が、頭の中を駆け巡りました。私は、震える手でスマートフォンを掴み、救急車を呼ぶべきか一瞬迷った末、深夜でも自家用車で駆け込める救急外来のある総合病院へと向かうことにしました。病院に到着し、受付で「胸がすごく痛くて、苦しいです」と伝えると、看護師さんの表情が変わり、すぐに車椅子に乗せられ、処置室へと運ばれました。そこからは、まさにドラマのような光景でした。すぐに心電図の電極が胸に貼られ、血圧計が腕に巻かれ、指には酸素飽和度を測るモニターが取り付けられました。医師が駆けつけ、「いつからですか?どんな痛みですか?」と矢継ぎ早に質問しながら、私の胸に聴診器を当てます。採血も行われ、血液中の心筋のダメージを示す数値を調べる緊急検査に出されました。幸い、心電図にも、血液検査の速報値にも、心筋梗塞を強く疑うような異常は見つかりませんでした。胸部レントゲンでも肺に異常はなく、最終的に医師から告げられた診断は、「非定型胸痛。おそらく、逆流性食道炎か、肋間神経痛の強いものでしょう」というものでした。原因がはっきりし、命に関わる病気ではなかったことに心から安堵しましたが、同時に、あの時の恐怖と痛みは、今でも鮮明に覚えています。この体験を通して私が学んだのは、胸の痛みに関しては、「考えすぎ」「大げさ」ということはない、ということです。万が一、本当に心筋梗塞であったなら、あの時、私が様子を見て朝まで我慢していたら、どうなっていたかわかりません。結果的に何もなかったとしても、専門家によって「危険はない」と診断してもらうこと。その安心感を得るためだけでも、躊躇なく医療機関を頼ることの重要性を、身をもって知った夜でした。
-
家族がヘルパンギーナ、妊婦が家庭内感染を防ぐには
子供がヘルパンギーナと診断された時、妊娠中のお母さんにとって最も重要なミッションは、自身への感染をいかに防ぐか、ということです。ヘルパンギーナのウイルスは感染力が非常に強く、家庭内での感染を防ぐのは容易ではありませんが、正しい知識を持って予防策を徹底することで、そのリスクを大幅に下げることが可能です。まず、敵を知ることが大切です。ヘルパンギーナの主な感染経路は、咳やくしゃみで飛び散るウイルスを吸い込む「飛沫感染」、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れる「接触感染」、そして便に排出されたウイルスが口に入る「糞口感染」の三つです。これらの感染経路を、一つひとつ断ち切ることを意識しましょう。最も基本かつ重要なのが、「手洗い」の徹底です。看病をした後、子供が使った食器を片付けた後、そして特にオムツを交換した後は、必ず石鹸と流水で、指の間や手首まで丁寧に洗いましょう。アルコール消毒は、ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルスには効果が低いとされているため、物理的にウイルスを洗い流す手洗いが何よりも効果的です。次に、感染した子供との「密接な接触」を可能な限り避けることです。キスや、同じ食器・カトラリー、タオルの共用は、感染のリスクを著しく高めます。食器は使用後にしっかりと洗浄し、タオルは完全に別のものを用意しましょう。看病の際には、妊婦さん自身もマスクを着用することで、飛沫感染のリスクを減らすことができます。そして、意外と見落とされがちで、かつ非常に重要なのが「糞口感染」対策です。ヘルパンギーナのウイルスは、症状が治まった後も、数週間にわたって便の中から排出され続けます。おむつ交換の際には、使い捨ての手袋を着用し、交換後は汚れたオムツをビニール袋に入れてしっかりと口を縛り、すぐに蓋付きのゴミ箱に捨てましょう。おむつを交換した場所も、次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒液などでこまめに拭き取るのが理想です。これらの対策は、手間がかかり大変ですが、お腹の赤ちゃんと自分自身の体を守るために、今できる最善の防御策なのです。
-
私が首のしこりで耳鼻咽喉科を受診した全記録
三十代半ばを過ぎたある朝、髭を剃っている時に、右の顎の下あたりに、パチンコ玉くらいの大きさのしこりがあることに気づきました。触ると少し弾力があり、コロコロと動きます。痛みは全くありません。最初はニキビか何かだろうと気にも留めていませんでしたが、一週間経っても、二週間経っても、しこりは消えるどころか、少し大きくなったような気さえします。「これは何だろう…」。インターネットで「首のしこり」と検索すると、リンパ節の腫れから悪性腫瘍まで、様々な病名が並び、私の不安は一気に増大しました。悩んだ末、私はまず、首周りの専門家である「耳鼻咽喉科」のクリニックを受診することに決めました。診察室に入ると、医師は私の話をじっくりと聞いた後、「では、首を触らせてくださいね」と、しこりのある場所だけでなく、首全体を丁寧に触診しました。そして、「口の中と喉も見てみましょう」と、鼻から細いファイバースコープを挿入しました。モニターには、自分の喉の奥の映像が映し出され、少し不思議な感覚でしたが、痛みはほとんどありませんでした。医師は、「喉や声帯には、特に異常はありませんね」と説明してくれました。次に、隣の検査室に移動し、「超音波(エコー)検査」を受けました。首に冷たいゼリーを塗られ、技師さんが機械を当てていきます。モニターには、白黒の画像が映し出され、しこりの大きさや形、内部の様子が詳しく観察されていました。全ての検査が終わって再び診察室に戻ると、医師はエコーの画像を見せながら、こう説明してくれました。「このしこりは、大きさ約1.5センチのリンパ節です。形もきれいで、悪い所見はありません。おそらく、少し前にひいた風邪か何かの影響で、反応性に腫れているものでしょう。しばらく様子を見て、もし大きくなるようなら、また来てください」。その言葉に、私は心の底から安堵しました。原因がわかり、専門家から「大丈夫」と言ってもらえたことで、数週間にわたる重い不安から、ようやく解放された瞬間でした。迷ったら、まず専門家に見てもらう。その大切さを痛感した体験でした。
-
子供の風邪に伴う蕁麻疹、親ができること
小さなお子さんが、高熱を出し、咳き込みながら、「痒い、痒い」と体を掻きむしっている姿を見るのは、親として非常につらいものです。子供は、大人以上に風邪をきっかけとして蕁麻疹を発症しやすく、その多くは心配のない一過性のものですが、適切なケアをしてあげることで、お子さんの苦痛を少しでも和らげることができます。まず、蕁麻疹の痒みを悪化させないための環境づくりが大切です。蕁麻疹は、体が温まると血管が拡張し、痒みが強くなる性質があります。高熱が出ているからといって、厚着をさせすぎたり、布団をかけすぎたりするのは逆効果です。衣類は、通気性の良い綿素材のものを選び、室温も快適な温度に保ちましょう。お風呂も、熱いお湯に長く浸かると痒みが増すため、ぬるめのシャワーで汗をさっと流す程度にするのが賢明です。体を洗う時も、石鹸でゴシゴシこすらず、優しく撫でるように洗いましょう。次に、痒がるお子さんを何とかしてあげたい一心で、市販の虫刺されの薬などを塗ってしまいがちですが、これは避けてください。成分によっては、かえって皮膚を刺激してしまうことがあります。痒みが強い部分を冷たいタオルや、タオルで包んだ保冷剤などで優しく冷やしてあげると、一時的に痒みが和らぎ、気持ちも落ち着くことがあります。また、掻き壊しを防ぐために、爪は短く切っておきましょう。掻きむしって皮膚に傷ができてしまうと、そこから細菌が感染して「とびひ」などを併発するリスクがあります。そして、最も重要なのは、適切な医療機関の受診です。子供の蕁麻疹は、食物アレルギーなどが隠れている可能性もゼロではありません。特に、蕁麻疹に加えて、唇が腫れたり、咳き込んで呼吸が苦しそうになったり、ぐったりして元気がないといった症状が見られる場合は、「アナフィラキシー」という重篤なアレルギー反応の可能性もあります。この場合は、躊躇なく救急車を呼ぶか、夜間救急を受診してください。通常の蕁麻疹であれば、かかりつけの「小児科」を受診すれば、風邪の治療と合わせて、子供でも安全に飲める抗ヒスタミン薬のシロップなどを処方してくれます。親の冷静な対応と、専門家の正しい診断が、お子さんを安心させる一番の薬となるのです。
-
なぜか特定の風邪でだけ蕁麻疹が出る私の体験談
私は、昔から年に一度か二度は必ず風邪をひく、ごく普通の体質です。しかし、私の風邪には、少し変わった特徴があります。それは、喉の痛みから始まる特定のタイプの風邪をひいた時だけ、必ずと言っていいほど、全身に蕁麻疹が出るのです。それは、決まって発熱して二日目の夜に始まります。最初は、お腹や背中のあたりにポツポツと赤い膨らみが現れ、それがみるみるうちに繋がり、地図のような形になって全身に広がっていきます。そして、尋常ではない痒みが襲ってくるのです。まるで、何千匹もの蚊に一斉に刺されたかのような、内側から湧き上がってくるような痒み。あまりの痒さに、夜も眠れず、ただひたすら体を掻きむしりたい衝動と戦うことになります。初めてこの症状を経験したのは、二十代の頃でした。高熱と蕁mA疹にパニックになり、夜間救急に駆け込みました。医師の診断は、「ウイルス性感染症に伴う急性蕁麻疹」。風邪のウイルスがアレルゲンのように働いて、アレルギー反応が起きているのだろう、という説明でした。抗ヒスタミン薬の注射をしてもらい、飲み薬を処方されて帰宅。その後、風邪が治ると共に、蕁麻疹も嘘のように引いていきました。それ以来、同じような喉の痛みから始まる風邪をひくと、私は「ああ、また出るな」と覚悟するようになりました。不思議なことに、鼻水や咳から始まる風邪の時には、全く蕁麻疹は出ません。おそらく、私の体は、特定の種類のウイルスに対してだけ、アレルギー反応を起こしやすい体質なのでしょう。今では、その「いつもの風邪」の兆候を感じたら、悪化する前に内科を受診し、事情を説明して、あらかじめ抗ヒスタミン薬を処方してもらうようにしています。早めに薬を飲み始めることで、蕁麻疹が出たとしても、その規模や痒みをかなり抑えることができるようになりました。この経験を通じて、私は自分の体の「癖」を知ることの大切さを学びました。自分の体と対話し、パターンを把握することで、予測し、備えることができる。それは、やみくもに不安がるよりも、ずっと賢明な付き合い方なのだと、今では思っています。
-
私がばね指の手術を決意するまでの長い道のり
私の右手中指に異変が起きたのは、育児に追われていた三十代の頃でした。最初は、指の付け根になんとなく違和感がある程度。しかし、次第に朝起きると指が固まって伸びなくなり、無理に伸ばそうとすると「カクン!」と音を立てて弾けるようになりました。整形外科で「ばね指」と診断され、最初に試したのは、湿布と安静指導でした。しかし、幼い子供を抱え、安静など保てるはずもありません。症状は悪化する一方で、ついに「ステロイド注射」を打つことになりました。注射の瞬間は痛かったですが、その効果は絶大でした。数日後には、あれほど悩まされていた痛みと引っかかりが完全に消え、私は「これで治った!」と心から喜びました。しかし、その喜びは長くは続きませんでした。半年もすると、また同じ症状が再発。再び注射を打ち、また治る。そして、また再発する。そんなイタチごっこを、私は数年にわたって繰り返していました。三回目の注射を打った時、医師から「これ以上注射を続けるのは、腱によくない。もしまた再発するようなら、次は手術を考えましょう」と告げられました。手術という言葉に、私は強い抵抗感を覚えました。手にメスを入れるのが怖かったのです。何とか手術を避けたい一心で、私はインターネットで調べたストレッチを試したり、整体に通ったりもしました。しかし、一度悪化してしまった私のばね指は、もはやごまかしが効かないレベルにまで進行していました。朝、指が固まって全く動かせず、反対の手で無理やり引き伸ばさなければならない。その時の激痛で、毎朝目が覚める。ペットボトルの蓋も開けられず、日常生活に深刻な支障をきたすようになっていました。もう、限界だ。私はついに、観念して手術を受けることを決意しました。怖くなかったと言えば嘘になります。でも、この終わりのない痛みと不便さから解放されるなら、と腹を括りました。手術は、驚くほどあっけなく終わりました。そして、麻酔が切れた後、恐る恐る指を動かしてみると、あの忌々しい引っかかりが、完全に消えていたのです。長年の苦しみから解放された瞬間でした。もっと早く決断すれば良かった。それが、手術を終えた私の、偽らざる本心でした。