子供が溶連菌感染症と診断され、処方された抗生物質を飲み始めてようやく熱が下がり、喉の痛みも和らいできた。ほっと一息ついたのも束の間、治ったはずの一週間後くらいに、体に新たな発疹が広がってきて戸惑う親御さんは少なくありません。溶連菌の発疹といえば、発熱とほぼ同時に現れる細かい赤い発疹(猩紅熱様発疹)が特徴的ですが、それとは違うタイミングで出る発疹には、いくつかの原因が考えられます。最も可能性が高い原因の一つが「薬疹(やくしん)」です。これは、病気そのものの症状ではなく、治療のために服用した薬に対するアレルギー反応として現れる発疹です。特に、溶連菌の治療に用いられるペニシリン系の抗生物質は、薬疹の原因となることがあります。発疹は、薬を飲み始めてから数日後、長い場合は一週間以上経ってから出ることもあり、その見た目も様々です。細かい赤い斑点だったり、少し盛り上がった蕁麻疹のようだったりと、猩紅熱様発疹とは異なる見た目をしていることが多いです。また、少し特殊なケースとして、実は溶連菌感染症ではなく、症状がよく似た「伝染性単核球症(EBウイルス感染症)」であった場合に、特定の抗生物質を服用すると、非常に高い確率で薬疹が出ることも知られています。次に考えられるのは、別のウイルス感染症の併発です。子供は、短い期間に複数のウイルスに感染することが珍しくありません。溶連菌と戦って体力が落ちている時に、別の発疹を伴うウイルス(例えば、突発性発疹の原因ウイルスなど)に感染し、その症状として発疹が現れている可能性もあります。いずれにしても、溶連菌の治療後、特に一週間ほど経ってから現れた発疹は、自己判断で「治りが悪いのだろうか」と考えるのではなく、薬が原因なのか、それとも別の病気なのかを正確に判断してもらうために、必ず処方を受けた医療機関を再受診することが重要です。
溶連菌治療後に発疹が出るのはなぜか