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そのかかとの痛み、あなたの靴が原因かもしれません
長引くかかとの痛みの原因を探る時、私たちはつい、体の内部の問題ばかりに目を向けがちです。しかし、実は毎日あなたの足を支えている「靴」そのものが、痛みを引き起こし、悪化させている最大の原因であるケースは少なくありません。足と靴の相性は、かかとの健康に直接的な影響を及ぼします。まず、最も問題となりやすいのが、「クッション性のない、底の薄い靴」です。ペタンコのパンプスやバレエシューズ、あるいはすり減ったスニーカーなどを履いていると、歩くたびに地面から受ける衝撃が、ダイレクトにかかとに伝わります。この繰り返される衝撃が、足底腱膜や、かかとの下にある脂肪体に微細なダメージを蓄積させ、炎症を引き起こすのです。また、「アーチサポートのない靴」も問題です。私たちの足の裏には、衝撃を吸収するための土踏まず(アーチ)がありますが、これを適切に支えてくれない靴を履いていると、アーチが崩れやすくなります。アーチが低下すると、それを支えている足底腱膜が過剰に引き伸ばされ、足底腱膜炎を発症するリスクが高まります。サイズが合っていない靴も、もちろんNGです。大きすぎる靴は、靴の中で足が不安定になり、無駄な力が入ってしまいます。逆に、小さすぎる靴は、足全体を圧迫し、血行を悪化させる原因となります。では、かかとに優しい靴とは、どのようなものでしょうか。ポイントは三つあります。一つ目は、「かかと部分に十分なクッション性があること」。衝撃をしっかりと吸収してくれる素材が使われているかを確認しましょう。二つ目は、「しっかりとしたアーチサポートがあること」。土踏まずの部分が適度に盛り上がり、足のアーチを支えてくれる構造になっていることが重要です。三つ目は、「かかとがしっかりと固定されること」。靴の中でかかとが動かない、安定した作りのものを選びましょう。もし、あなたが慢性的なかかとの痛みに悩んでいるなら、一度、自分の靴箱の中を見直してみてください。原因は、あなたの足元にあるのかもしれません。
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かかとが痛い時に試せる効果的なセルフケア
かかとに痛みを感じ始めた初期段階や、痛みがそれほど強くない場合に、症状を和らげ、悪化を防ぐために自宅でできる効果的なセルフケアがいくつかあります。ただし、これらはあくまで対症療法であり、痛みが続く場合や強い場合は、必ず整形外科で正確な診断を受けることが大前提です。まず、痛みの原因となっている足底腱膜の炎症を抑えるために、最も手軽で効果的なのが「アイシング」です。運動後や、一日中歩き回ってかかとが熱っぽいと感じる時に、冷凍庫にある保冷剤や、ビニール袋に入れた氷などをタオルで包み、痛む部分に十五分から二十分程度当てて冷やします。これにより、炎症を鎮め、痛みを和らげることができます。次に、非常に重要なのが「ストレッチ」です。かかとの痛みの多くは、足底腱膜や、それと繋がっているふくらはぎの筋肉(アキレス腱)が硬くなっていることが原因です。これらの組織の柔軟性を高めることで、かかとへの負担を軽減できます。お風呂上がりなどの体が温まっている時に行うのが効果的です。代表的なストレッチには、「タオルギャザーストレッチ」があります。床に座って足を伸ばし、痛い方の足の指の付け根にタオルを引っ掛け、ゆっくりと手前に引き寄せます。足の裏からふくらはぎが心地よく伸びるのを感じながら、三十秒ほどキープします。また、「ゴルフボールやテニスボールを使った足裏マッサージ」も有効です。椅子に座り、足の裏でボールをコロコロと転がし、足底腱膜を優しくほぐします。特に、痛気持ちいいと感じる部分を重点的に行うと良いでしょう。そして、日常生活では、できるだけかかとへの負担を減らすことを心がけます。長時間の立ち仕事を避けたり、クッション性の高い靴やインソールを使用したりするだけでも、症状は大きく変わってきます。これらのセルフケアを継続しても痛みが改善しない場合は、別の原因が隠れている可能性もあります。自己判断で放置せず、必ず専門医に相談してください。
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溶連菌治療後に発疹が出るのはなぜか
子供が溶連菌感染症と診断され、処方された抗生物質を飲み始めてようやく熱が下がり、喉の痛みも和らいできた。ほっと一息ついたのも束の間、治ったはずの一週間後くらいに、体に新たな発疹が広がってきて戸惑う親御さんは少なくありません。溶連菌の発疹といえば、発熱とほぼ同時に現れる細かい赤い発疹(猩紅熱様発疹)が特徴的ですが、それとは違うタイミングで出る発疹には、いくつかの原因が考えられます。最も可能性が高い原因の一つが「薬疹(やくしん)」です。これは、病気そのものの症状ではなく、治療のために服用した薬に対するアレルギー反応として現れる発疹です。特に、溶連菌の治療に用いられるペニシリン系の抗生物質は、薬疹の原因となることがあります。発疹は、薬を飲み始めてから数日後、長い場合は一週間以上経ってから出ることもあり、その見た目も様々です。細かい赤い斑点だったり、少し盛り上がった蕁麻疹のようだったりと、猩紅熱様発疹とは異なる見た目をしていることが多いです。また、少し特殊なケースとして、実は溶連菌感染症ではなく、症状がよく似た「伝染性単核球症(EBウイルス感染症)」であった場合に、特定の抗生物質を服用すると、非常に高い確率で薬疹が出ることも知られています。次に考えられるのは、別のウイルス感染症の併発です。子供は、短い期間に複数のウイルスに感染することが珍しくありません。溶連菌と戦って体力が落ちている時に、別の発疹を伴うウイルス(例えば、突発性発疹の原因ウイルスなど)に感染し、その症状として発疹が現れている可能性もあります。いずれにしても、溶連菌の治療後、特に一週間ほど経ってから現れた発疹は、自己判断で「治りが悪いのだろうか」と考えるのではなく、薬が原因なのか、それとも別の病気なのかを正確に判断してもらうために、必ず処方を受けた医療機関を再受診することが重要です。
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溶連菌後の発疹!見分け方と受診の目安
溶連菌感染症の治療後、一週間ほど経ってから現れる発疹は、親を不安にさせます。これが病気の再燃なのか、それとも別の原因なのか、ある程度の見分け方のポイントを知っておくと、冷静に対応することができます。まず、観察すべきは「発疹の見た目」です。溶連菌感染症そのものによる発疹(猩紅熱様発疹)は、赤くて細かい点状の発疹で、触ると紙やすりのようにザラザラしているのが特徴です。これに対し、一週間後など、遅れて出てくる発疹の多くは「薬疹」の可能性があり、その見た目は多彩です。麻疹のような少し大きな赤い斑点が癒合するもの、蕁麻疹のように盛り上がるものなど、猩紅熱様発疹とは明らかに違う見た目をしていることが多いです。次に、「かゆみの有無」も一つの手がかりです。猩紅熱様発疹は、かゆみを伴うこともありますが、薬疹の場合は、より強いかゆみを訴えることが少なくありません。子供がしきりに体を掻いているようなら、薬疹の可能性を考えましょう。そして、最も重要な見分け方のポイントが、「子供の全身状態」です。もし、溶連菌が再燃あるいは悪化しているのであれば、発疹とともに、再び高熱が出たり、喉の痛みを訴えたり、ぐったりして元気がなくなったりするはずです。一方で、薬疹の場合は、発疹以外の症状はほとんどなく、熱もなく、子供自身はケロリと元気に遊んでいることがほとんどです。この「発疹はあるけど、本人は元気」という状態が、薬疹を見分ける上での大きな特徴となります。では、どのような場合に病院を受診すべきでしょうか。答えは、「どんな場合でも、まずは処方医に相談する」です。たとえ子供が元気で、薬疹の可能性が高いと思われても、自己判断で薬を中止するのは危険です。必ず、薬を処方した医師に連絡し、発疹の状況を伝えて指示を仰ぎましょう。特に、発疹とともに熱が再び出てきた場合や、ぐったりしている場合は、別の感染症の併発や、稀な合併症の可能性も考えられるため、速やかに受診する必要があります。
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足底腱膜炎だけじゃない!かかとが痛い意外な原因
かかとの痛みの原因と聞くと、多くの人が足底腱膜炎を思い浮かべますが、実は、かかとの痛みを引き起こす病気はそれだけではありません。整形外科で診察を受けても、足底腱膜炎とは診断されず、別の原因が見つかることも少なくないのです。ここでは、足底腱膜炎以外に考えられる、かかとの痛みの原因をいくつかご紹介します。まず、「踵部脂肪体炎(しょうぶしぼうたいえん)」です。私たちのかかとの骨の下には、衝撃を吸収するための厚い脂肪のクッション(脂肪体)があります。この脂肪体が、加齢によって弾力性を失ったり、繰り返される強い衝撃によって炎症を起こしたりすることで、痛みが生じる病気です。足底腱膜炎のように動き始めだけ痛むのではなく、立っている間や歩いている間、持続的にジンジンとした痛みを感じるのが特徴です。次に、特にスポーツをする人に多いのが、かかとの骨の「疲労骨折」です。ランニングやジャンプなど、同じ動作の繰り返しによって、かかとの骨に微細なひびが入ってしまう状態です。安静時には痛みがなくても、運動時や、かかとを押した時に強い痛みを感じます。レントゲンでは初期にはわかりにくく、MRIなどの精密検査で診断されることもあります。また、痛みの原因が骨や腱ではなく、「神経」にある場合もあります。「足根管症候群(そっこんかんしょうこうぐん)」は、足首の内側にある神経の通り道(足根管)で、神経が圧迫されることで、かかとや足の裏にしびれや痛みが広がる病気です。そして、忘れてはならないのが、関節リウマチや強直性脊椎炎といった「全身性の疾患」です。これらの自己免疫疾患では、全身の関節に炎症が起こりますが、その一環として、アキレス腱やかかとの骨の付着部に炎症が生じ、痛みを引き起こすことがあります。このように、かかとの痛みと一口に言っても、その原因は様々です。自己判断はせず、専門家である整形外科医に診てもらい、痛みの本当の原因を突き止めることが、適切な治療への第一歩となります。