お子さんの首に、ビー玉のようなコロコロとしたしこりを見つけた時、親御さんは非常に心配になることでしょう。「何か悪い病気ではないか」と、不安で居ても立ってもいられない気持ちになるかもしれません。しかし、子供の首のしこりは、そのほとんどが病的なものではなく、心配のいらない「正常なリンパ節」であることが大半です。子供は、大人に比べて免疫システムがまだ未熟で、常に様々なウイルスや細菌と戦っています。そのため、風邪をひいたり、喉が少し赤くなったりするだけで、免疫の司令塔であるリンパ節が活発に働き、腫れやすくなるのです。特に、痩せ型のお子さんの場合、皮膚が薄いため、腫れていない正常なリンパ節でも触れやすいことがあります。これらのリンパ節は、通常、直径一センチ以下で、触るとクリクリとよく動き、痛みはありません。成長と共に自然に目立たなくなることがほとんどなので、過度に心配する必要はありません。では、どのような場合に病院を受診すべきなのでしょうか。その目安は、「大きさ」「痛み」「数」です。しこりが急に大きくなってきた(目安として一センチ以上)、あるいはどんどん大きくなり続ける場合。しこりを押すと痛がったり、赤く腫れて熱を持っていたりする場合。そして、首のいろいろな場所に、たくさんのしこりが触れる場合です。これらのサインが見られたら、かかりつけの「小児科」を受診してください。小児科医は、子供の全身状態を診察し、それが単なる感染に伴うリンパ節炎なのか、あるいは稀ではありますが、川崎病や、悪性リンパ腫といった他の病気の可能性がないかを慎重に判断してくれます。小児科での診察の結果、さらに詳しい検査や専門的な治療が必要と判断された場合には、そこから「小児外科」や「耳鼻咽喉科」など、適切な専門医へ紹介されることになります。まずは、子供の体のことを最もよく知る、かかりつけの小児科医に相談する。それが、親御さんの不安を解消し、お子さんの健康を守るための、最も安心できるスタートラインです。
子供の首のしこり、親が知っておくべきこと