皮膚科で痛い魚の目の芯をきれいに削ってもらった。歩く時の痛みもなくなり、これで一安心。そう思ったのも束の間、数ヶ月もすると、また同じ場所に同じような痛みが再発してしまった。そんな経験はありませんか。この、うんざりするような魚の目の再発ループから抜け出すためには、対症療法だけでは不十分です。なぜ、そこにばかり魚の目ができるのか、という「根本原因」にアプローチする必要があります。そして、その専門家こそが「整形外科」なのです。皮膚科医が魚の目という「結果」を取り除くプロであるとすれば、整形外科医は、その「原因」を解明し、取り除くプロです。魚の目やタコができる直接的な原因は、足裏の特定の部位への過剰な圧力です。そして、その異常な圧力を引き起こしているのが、足の骨格の変形や、歩き方の癖なのです。整形外科では、まずレントゲン撮影を行い、足の骨の構造を詳しく調べます。そこで、例えば親指が「く」の字に曲がる「外反母趾」、足の横アーチが潰れて足幅が広がる「開張足」、土踏まずが消失する「扁平足」、あるいは指がハンマーのように曲がってしまう「ハンマートゥ」といった、足の形態異常がないかを確認します。これらの変形があると、本来であれば分散されるべき体重が、特定の場所に集中してしまい、何度削っても同じ場所に魚の目ができてしまうのです。診断がつくと、整形外科では、これらの構造的な問題を補正するための治療を行います。その中心となるのが、「足底挿板(そくていそうばん)」、いわゆるオーダーメイドのインソールの作成です。患者さん一人ひとりの足の形や圧力のかかり方を専門的な機器で測定し、異常な圧力を分散させ、正しい足のアーチをサポートするようなインソールを処方します。このインソールを普段履く靴に入れるだけで、魚の目ができる場所への負担が劇的に軽減され、再発を強力に防ぐことができます。また、正しい歩き方を指導するリハビリテーションや、適切な靴の選び方のアドバイスも行われます。もし、あなたが何度も繰り返す魚の目に悩んでいるなら、一度、整形外科の扉を叩いてみてください。そこには、あなたの足の悩みを根本から解決する道が拓けているかもしれません。