高熱と激しい喉の痛み。症状からして、おそらくヘルパンギーナだろう。そう思った時、妊娠中の女性は「かかりつけの産婦人科に行くべきか、それとも症状を専門とする内科に行くべきか」という、受診先の選択に迷うことでしょう。どちらを受診しても間違いではありませんが、それぞれの診療科の役割と、状況に応じた最適な判断基準を知っておくと、よりスムーズで安心な医療を受けることができます。まず、基本的には、妊娠中に何らかの体調不良が起きた場合は、第一に「かかりつけの産婦人科」に連絡し、指示を仰ぐのが最も安全な方法です。産婦人科医は、あなたの妊娠経過を全て把握しており、お腹の赤ちゃんの状態を常に念頭に置いた上で、最も安全な対応を判断してくれます。電話で症状を伝えれば、そのまま産婦人科を受診すべきか、あるいは内科の受診を勧め、その際に注意すべき点を教えてくれるでしょう。また、産婦人科を受診する最大のメリットは、妊娠中でも安全に使用できる薬を処方してもらえることです。高熱を和らげるための解熱剤や、脱水を防ぐための点滴など、胎児への影響を最大限に考慮した治療を受けることができます。一方、「内科」や「耳鼻咽喉科」を受診するメリットは、喉の痛みや発熱といった症状そのものに対する、より専門的な診断と処置が受けられる点にあります。例えば、喉の痛みが本当にヘルパンギーナによるものか、あるいは扁桃炎や他の病気ではないかを正確に鑑別したり、喉に直接薬を塗布するなどの処置を受けたりできる可能性があります。もし、内科や耳鼻咽喉科を先に受診する場合は、必ず受付や問診の際に「現在、妊娠何週目であるか」を明確に伝えてください。これにより、医師は妊娠に影響のない薬を選択してくれます。結論として、理想的な流れは、「まず、かかりつけの産婦人科に電話で相談する」ことです。そこで指示を仰ぎ、必要であれば産婦人科医と連携が取れる内科を紹介してもらう、といった形が取れれば最も安心です。自己判断で医療機関を受診する前に、まずは一番の味方である主治医にコンタクトを取ることを忘れないでください。