指の痛みと引っかかりで整形外科を受診し、「ばね指」と診断された後、具体的にどのような治療が行われるのでしょうか。整形外科での治療は、症状の重症度や患者さんのライフスタイルに合わせて、段階的に行われるのが一般的です。その目的は、腱と腱鞘の炎症を鎮め、腱のスムーズな動きを取り戻すことです。まず、症状が比較的軽い初期段階で行われるのが「保存的治療」です。その基本は、「安静」と「薬物療法」です。医師は、指の使いすぎが原因であることを説明し、できるだけ指に負担をかけないように指導します。痛みが強い場合は、一時的に指を固定するための装具(スプリント)が処方されることもあります。薬物療法としては、炎症を抑えるための湿布や塗り薬、あるいは内服の消炎鎮痛剤が用いられます。これらの基本的な治療で改善が見られない場合、次に検討されるのが「腱鞘内ステロイド注射」です。これは、ばね指の治療において非常に効果的な方法です。炎症を起こしている腱鞘の中に、直接、強力な抗炎症作用を持つステロイド薬を注射します。これにより、腱と腱鞘の腫れが劇的に改善し、多くの場合、注射後数日から一週間で、痛みと引っかかりが嘘のように解消されます。外来で簡単に行える処置ですが、複数回繰り返すと腱がもろくなるリスクもあるため、通常は一、二回の注射で効果が見られない場合は、次のステップを考えることになります。そして、これらの保存的治療を行っても症状が改善しない、あるいは頻繁に再発を繰り返す場合、最終的な選択肢となるのが「手術」です。手術は、局所麻酔による日帰り手術が可能です。手のひらの指の付け根部分を、一センチから一.五センチほど小さく切開し、 thickenedした腱鞘を切り開いて、腱の通り道を広げてあげるという、非常にシンプルなものです。手術時間は十分程度で、腱の引っかかりはその場で解消されます。このように、整形外科では、軽度なものから重度なものまで、ばね指に対する様々な治療の選択肢が用意されています。医師とよく相談し、自分に合った治療法を選択することが大切です。