小さなお子さんが、高熱を出し、咳き込みながら、「痒い、痒い」と体を掻きむしっている姿を見るのは、親として非常につらいものです。子供は、大人以上に風邪をきっかけとして蕁麻疹を発症しやすく、その多くは心配のない一過性のものですが、適切なケアをしてあげることで、お子さんの苦痛を少しでも和らげることができます。まず、蕁麻疹の痒みを悪化させないための環境づくりが大切です。蕁麻疹は、体が温まると血管が拡張し、痒みが強くなる性質があります。高熱が出ているからといって、厚着をさせすぎたり、布団をかけすぎたりするのは逆効果です。衣類は、通気性の良い綿素材のものを選び、室温も快適な温度に保ちましょう。お風呂も、熱いお湯に長く浸かると痒みが増すため、ぬるめのシャワーで汗をさっと流す程度にするのが賢明です。体を洗う時も、石鹸でゴシゴシこすらず、優しく撫でるように洗いましょう。次に、痒がるお子さんを何とかしてあげたい一心で、市販の虫刺されの薬などを塗ってしまいがちですが、これは避けてください。成分によっては、かえって皮膚を刺激してしまうことがあります。痒みが強い部分を冷たいタオルや、タオルで包んだ保冷剤などで優しく冷やしてあげると、一時的に痒みが和らぎ、気持ちも落ち着くことがあります。また、掻き壊しを防ぐために、爪は短く切っておきましょう。掻きむしって皮膚に傷ができてしまうと、そこから細菌が感染して「とびひ」などを併発するリスクがあります。そして、最も重要なのは、適切な医療機関の受診です。子供の蕁麻疹は、食物アレルギーなどが隠れている可能性もゼロではありません。特に、蕁麻疹に加えて、唇が腫れたり、咳き込んで呼吸が苦しそうになったり、ぐったりして元気がないといった症状が見られる場合は、「アナフィラキシー」という重篤なアレルギー反応の可能性もあります。この場合は、躊躇なく救急車を呼ぶか、夜間救急を受診してください。通常の蕁麻疹であれば、かかりつけの「小児科」を受診すれば、風邪の治療と合わせて、子供でも安全に飲める抗ヒスタミン薬のシロップなどを処方してくれます。親の冷静な対応と、専門家の正しい診断が、お子さんを安心させる一番の薬となるのです。